日本の雪、パースの太陽
2月の日本。暦の上では春が近いと言われるが、実際は一年で最も寒さが骨身に沁みる季節だ。 今回の目的地は西オーストラリア州の州都、パース。 「世界で一番美しい街」とも称される彼の地は、現在真夏の真っ只中である。
今回の旅で最大の懸念事項、それは「気温差」だ。 出発の朝、窓の外は見事な雪景色だった。


成田エクスプレスの車窓から見える景色は美しいが、ホームに降り立った瞬間の寒さは想像に難くない。 通常、冬の海外渡航であっても、私はユニクロのウルトラライトダウンなどをレイヤードして凌ぐことが多い。空港に着いたら小さく畳んでバッグの隙間に押し込めば、現地の夏にも対応できるからだ。
しかし、さすがにこの氷点下予報ではそうもいかない。 命を守るためにも、しっかりとしたヘビーデューティーなダウンジャケットを着込む必要がある。 だがここで矛盾が生じる。この分厚いダウンは、成田を飛び立った瞬間から、パースの炎天下ではただの「巨大で無用な荷物」と化すのだ。
快適な旅において「身軽さ」は正義であり、不要な荷物はノイズでしかない。 そこで今回は、私が経営者としても愛用しているセゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カードの特典をフル活用し、この問題をスマートに解決することにした。
空港で「身軽さ」を買う技術
成田空港第1ターミナル。 雪の降る中、愛用のダウンジャケットに守られて快適に到着した私が向かったのは、航空会社のチェックインカウンターではない。南ウイングの端にあるJAL ABCカウンターだ。

ここには「コートお預かりサービス」がある。 通常は1着数千円かかる有料のサービスだが、セゾンプラチナ・アメックスの会員であれば、コート1着を最大30日間まで無料で預かってくれるのだ。
場所は成田第1ターミナルであれば、4階出発ロビーの南ウイング。 ANAのカウンター(J)を通り過ぎ、さらに右奥に進んだところにある。 少し奥まっていて、「知る人ぞ知る」といった場所にあるのがまた良い。人混みを避けて手続きができる。
手続きは極めてシンプルだ。 予約は不要。カウンターでカードを提示し、「お願いします」とコートを渡すだけ。 これだけで、あの嵩張るダウンジャケットから解放される。
控えを受け取った瞬間、物理的にも精神的にも一気に軽くなった。 これから向かうパースの青い空へ、心置きなく飛び立てるというものだ。この開放感は、旅のスタートを飾る儀式として非常に心地よい。

リスク管理と「手ぶら」のバランス
このサービスの真骨頂は、帰国時にもある。 帰国時は、到着ロビー(1階)にある同カウンターでコートを受け取ることができる。 機内から降り立ち、日本の冬の寒さを肌で感じた瞬間に、温かい自分のコートが待っている安心感は代えがたい。
さらに、このカードには**「手荷物無料宅配サービス」**も付帯している。 往路・復路ともにスーツケースを1個(カードによっては2個)まで無料で配送してくれる、いわゆる「手ぶらサービス」だ。
実は今回、往路に関しては利用を見送った。 雪予報が出ていたため、配送の遅延リスクを考慮して自分で持ち運ぶという「アナログな」選択をしたからだ。旅慣れた人間ほど、不測の事態(雪による交通麻痺など)には臆病になるものだ。荷物は自分の手元にあるのが一番確実な時もある。
だが、帰りは違う。 パースのワイナリーで買ったワインや、自分へのお土産で膨れ上がったスーツケースを、この到着階のカウンターでそのまま預けてしまう予定だ。JAL ABCは佐川急便と提携しており、自宅まで確実に届けてくれる。
1. 到着ロビーでコートを受け取り、暖を取る。
2. 重いスーツケースを預け、身軽になる。
3. そのままスマートにハイヤーか電車で帰路につく。
これぞ、大人の旅の「王道」ではないだろうか。
旅の質は、ホテルのグレードやフライトの座席だけでなく、こうした「移動のストレス」をいかに減らすかで決まる。 年会費はかかるが、こうした特典を使いこなせば、十分に元は取れるどころか、それ以上の価値(時間と快適さ)を生んでくれる。
さて、ダウンジャケットという重荷を下ろしたことだし、ラウンジで離陸前のシャンパンでも楽しむとしよう。 パースの風を感じるまで、あとは身を委ねるだけだ。
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この記事を書いた人
牛草貴博 獣医師・博士(獣医学) 獣医師として臨床25年超。動物病院や関連企業の経営を行う傍ら、旅と美食、そして効率的な移動手段を愛する。モットーは「シンプルに王道を」。

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