名古屋での仕事を終え、名駅へと急ぐ。新幹線の時刻を気にしつつも、私の足が自然と向かう場所がある。それは、名古屋の喫茶店文化を象徴する老舗**「コンパル」**だ。
名古屋には数多の「ソウルフード」が存在するが、出張帰りの新幹線内という限定的なシチュエーションにおいて、これ以上の正解を私は知らない。
昭和22年創業、変わらぬ「王道」の風格
今回立ち寄ったのは、名駅地下街にあるメイチカ店(あるいはサンロード店)。

店頭には「モーニングセット」の文字が躍り、昭和の香りを色濃く残す佇まいに心が安らぐ。しかし、私の目的はただ一つ。名物**「エビフライサンド」**のテイクアウトだ。
ここで慌ててはいけない。コンパルのサンドイッチは、作り置きを一切しない。注文を受けてからエビを揚げ、卵を焼き、パンをトーストする。そのため、**「20分待ち」**はもはやデフォルトの儀式である。
番号札を受け取り、地下街の喧騒の中で静かに待つ。この「待たされる時間」こそが、これから手にする美食への期待値を最大化させてくれる。
緻密に計算された「構造美」を解剖する
新幹線の座席に落ち着き、お馴染みのロゴが並ぶボックスを開封する。

現れたのは、黄金色のトーストに挟まれた圧倒的なボリュームの具材だ。

このサンドイッチの凄みは、その**「構造」**にある。
- エビフライ: プリプリの大きなエビが贅沢に3本。衣のサクッとした食感と、中心部の弾力のコントラストが見事だ。
- ふんわり卵: 丁寧に焼き上げられた薄焼き卵が、全体を優しく包み込む。
- シャキシャキのキャベツ: たっぷりの千切りキャベツが、揚げ物の重さを中和し、絶妙な軽やかさを生んでいる。
- ダブルソース: カツソースとタルタルソース。この二重奏が、トーストされたパンに染み込み、渾然一体となった旨味を形成する。
一口頬張れば、トーストの香ばしさの後に、濃厚なエビの旨味とソースの酸味が追いかけてくる。まさに、「シンプルにして王道」。これぞ、私が求める食の姿だ。

出張の疲れを癒やす、最高のご褒美
かつて私は、効率ばかりを追い求めていた時期もあった。しかし、脳梗塞という病を経て、日常の小さな感動や、手間暇かけられたものの価値を再認識するようになった。
この20分という待ち時間は、忙しないビジネスの世界から、プライベートな寛ぎへとスイッチを切り替えるための、大切な**「句読点」**なのかもしれない。
名古屋出張の締めくくりに、ぜひこの「エビフライサンド」という選択肢を加えてみてほしい。新幹線の車窓を流れる景色が、いつもより少しだけ美しく見えるはずだ。
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