湯河原には世界が誇るラーメンの聖地「飯田商店」がある。ご存じの通りラーメンを超えたラーメンといってよい。そして食べるのが一番困難なラーメンとしても有名だ。何せ予約でしか食べられずその予約が尋常じゃなく取れない。何度か食べる機会をいただいたが、まあそれはうまいとしか言いようがない、すべてがうまみだけでできた食べ物。
飯田商店は別格として湯河原には美味しいラーメン屋さんがたくさんあり、どれもそれぞれ愛され流行っている。口コミがバズっているラーメン屋なんかも有名で、湯河原で麵といえばラーメン一強なのである。そんな中、湯河原でおいしいお蕎麦屋さんができたと聞いたので早速行ってみた。
お店の名前は「蕎麦ワタル」。宮上の温泉場の大通りから一つ曲がってすぐの静かな場所にある。店構えは落ち着いた少しモダンな感じ。奇をてらっておしゃれにしておらず町に根付いたお店として、またターゲット層を少し若いほうにシフトさせ、また別荘族も安心して入れるちょうど良い感じにしてあるところがすばらしい。
お店に入るとカウンター6席、テーブル4つの構成。土曜の夜、テーブルは3席埋まっており皆楽しそうに話しながらお酒を楽しんでいる。こういった場所によくある常連さんしか入れない感じは一切ない。店主は若く奥様とみられる方とお母さまの三人でやられているのか。蕎麦屋としてとても良い距離感で入った瞬間でいいお店だとわかる。
今日は天ぷらメインの構成で考えていたので、カウンターのかぶりつき席が空いていたのでそちらを選び、早速オーダーする。まずはレモンサワーで。ここだけはセレクトをミスって、蕎麦屋のレモンサワーはあまり当たりがない。初めから和酒を選ぶべきだったと。お酒に関しては日本酒、焼酎は良いセレクト。次回からは初めから日本酒でいかねば。
メニューを見て確実に天ぷら押しだったので、まずは天ぷらの盛り合わせ3500円から。まあまあ高いなと思ったらとんでもない。カウンターだと盛り合わせでなく一品一品揚げたてをいただける上に、二名でちょうどよい量。ちゃんとすべていい感じに二人前の様相で提供してくれる。メニュー名は天ぷら盛り合わせでなく、「お任せつまみ天ぷらコース2人前3500円」というのが正確な表現。天ぷらをしっかり時間をかけて丁寧にいただくことができまずは大満足。薄い衣に野菜がどれもおいしく特にトウモロコシとカボチャとサツマイモがおいしかったなぁ。
そのあと夜にしか提供されない茶碗蒸しをいただきこれまた絶品。具は上にちょこっと乗っかっている梅干しのみ。冷やしなすと塩辛をいただき、締めの蕎麦。蕎麦のメニューも豊富なため、散々迷った挙句、夏限定の梅のひやかけ、ざるそばをいただく。おいしい蕎麦は美しい。これまた出てきた瞬間、期待が高まる。十割蕎麦なのだけどしっとりしてつるつるのテクスチャーでぼそぼそ感は一切ない。相当な高い技術だし出汁も香りたち、塩分濃度が絶妙でうまみの割合が十割の蕎麦との相性を計算されつくされていて本当に旨い。
食後に店主と話してみると、神楽坂の名店「蕎楽亭」で修業されたそう。そりゃ旨いはずだ。蕎楽亭の技術と湯河原で培われた味に進化した「蕎麦ワタル」が湯河原にあることは蕎麦好きにとっては本当にうれしいことだ。
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