投資と投機の違いってなんだろう?【社会人1年目からの資産形成①】
おめでとう。そして、ようこそ「プロ」の世界へ。
3月。大学を卒業したばかりの諸君、あるいは新たな職場への一歩を踏み出そうとしている皆さん、まずは心からおめでとう。
今は、4月から始まる新生活への期待と、「本当にやっていけるだろうか」という不安が入り混じった、独特な季節の中にいるはずだ。私も25年以上前、同じような春を経験した 。
初めて手にする給与。それは君たちがプロとして社会に貢献した対価だ。その大切なお金をどう扱うか。実は、学校では教わらないこの「金融のリテラシー」こそが、長く、そして自分らしく働き続けるための「守りの盾」になる。
今回は、私が自らの手痛い経験から学んだ、資産形成の第一歩「投資と投機の違い」について、友人と盃を酌み交わすような気分で語ってみたい。

1. 投資(Investment)とは「根を張ること」
投資の本質は、長期的な視点で資産を増やすことだ 。対象が成長するプロセスに資本を投じ、その実りを分かち合う。+1
私が考える投資は、**「果樹園を育てること」**に似ている。 苗を植え、水をやり、時間をかけて木が大きく育つのを待つ 。一度根を張れば、木は毎年果実をつけてくれる。+1
- 視点: 長期的(10年、20年単位) 。
- 目的: 価値の成長に伴う資産の増大 。
- 期待値: 世界経済の成長に伴い、全体としてプラスになる可能性が高い(プラスサム) 。
2. 投機(Speculation)とは「波を待つこと」
一方で投機は、短期的な価格の「ゆがみ」や変動を利用して利益を得る行為だ。
これは、**「サーフィンで良い波を掴むこと」**に近い。 波が来るタイミングを見極め、短期間でボードを走らせる 。上手くいけば劇的だが、波を読み違えればひっくり返るリスクがある。+1
- 視点: 短期的(数日、数時間単位) 。
- 目的: 価格差による利益(キャピタルゲイン)の追求 。
- 期待値: 誰かの利益は誰かの損失。奪い合いの側面が強い(ゼロサム)。
私が「40代後半」で学び直した理由
実を言うと、私は獣医師として仕事に没頭するあまり、20年もの間、お金のことには全く興味がなかった 。しかし、2018年に突然の脳梗塞に見舞われ、「死」と正面から向き合うことになった 。
幸い社会復帰できたが、直後に離婚も経験し、それまで任せきりだった経済的基盤の脆弱さに愕然としたのだ 。そこで、一から歴史や地勢を含めた「金融」を学び直した 。
金融の歴史はメソポタミア文明から現在まで、驚くほど同じようなパターンを繰り返している 。この「傾向と対策」を知っているかどうかが、プロの世界で生き抜く鍵になる。
複利(Compound Interest)という最強の武器
若いうちに資産形成を始める最大のメリットは、時間が**「複利」**を最大化してくれることだ。
元本 $P$、年利率 $r$、投資期間 $n$ 年としたとき、元利合計 $A$ は以下の式で表される。
$$A = P(1 + r)^n$$
この指数 $n$ (時間)こそが、新社会人の諸君が持つ最強の武器だ。早く始めれば始めるほど、グラフは後半に恐ろしい角度で上昇していく。

忘れてはならない「最大の資産」への投資
さて、ここまで「お金に働いてもらう」話をしてきたが、新社会人の君たちに絶対に忘れてほしくないことがもう一つある。
それは**「自己投資」**だ 。
私自身、20代から40代前半にかけて、これでもかというほど自分自身に投資をしてきた 。獣医師としての技術を磨き、40歳で博士号を取得し、経営を学んだ 。この「自分という資本」を磨き上げたことで、今の多角的な事業展開がある 。
金融資産を運用する「種銭」を作るのは、他ならぬ君たちの**「稼ぐ力」**だ。20代において、自分自身のスキルや経験に投じる資金の「利回り」は、どんな株式投資よりも高くなる可能性がある。
ウシログ的視点 金融資産の投資は「守りの盾」であり、自己投資は「攻めの矛」だ。この両輪が揃って初めて、人生の自由度は飛躍的に高まる 。+1
結びに代えて
おめでとう。君たちの前には、無限の可能性が広がっている。まずは「投機」の誘惑に負けず、着実な「投資」の習慣を身につけてほしい。そして同時に、自分という最高のガジェットをアップデートし続けてほしい。
次回は、この**「自己投資」**について、具体的にどう自分の価値を高めていくべきか、私の25年のキャリアを振り返りながら深掘りしてみよう 。
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