2022年7月にホノルルに行き、テレメディスンを経験してきました。
日本の獣医療においても遠隔診療は始まっていますが、マーケットの拡大スピードは緩やかで、米国におけるヒトのテレメディスンの状況との違いを中心に記述します。
私が米国で購入したかった薬はVUITYというもので、先日FDAで承認された老眼用の目薬です。老眼に対して約8時間の効果が持続します。これは日本では購入できないものでかつ米国でも医師の処方箋が必要です。
今回はPUSH HEALTHというシステムを使いました。
米国ではアプリがあるようですが残念ながら日本のアカウントでは導入ができませんでした。
まずはプロフィールを作成するのですが、注意事項は電話番号と決済方法。
電話番号は日本の携帯は登録ができません。ホテルの電話番号で登録が可能でしたので、そちらで問題はありませんが、問題はその際の決済方法。クレジットカードで決済しようとすると確認のためのSMSが送られます。携帯を登録できないために、ココが問題になることがあります。(別の人が同様に決済した場合にはなぜかSMSでの確認は行われませんでした)この場合には。。。で決済するとこれをクリアできますので、事前に登録しておくことをおすすめします。
薬の名前がわかっているとドクターへの処方依頼は簡単で、写真の項目を埋めて送信してしばらくすると、good news!というメールが届き、処方をしてくれるドクターが決まります。処方の注意点などが送られてきて、場合によってパスポートを送るようにメッセージが来ます。
それに従って行くと、希望した薬局で受け取れるというメールが届きそれから2時間-3時間後には受け取れるようになります。
ここでテレメディスンによる処方は完了。その費用は65ドルでした。
今回はホノルルでしたが対象となる薬局はかなりたくさんありましたので、そちらは都市部では問題がないかと思います。
ここまで来ればあとはとりに行くだけ。
私が利用したワイキキの中心地のロングドラッグは、日本人の薬剤師がおり、ピックアップと言うレーンで処方箋(MY CHART)を見せればすぐに準備していた薬を出してくれます。
ここでお分かりになられたと思いますが、日本人が考えるテレメディスンとはだいぶ様子が異なります。
米国は日本とは違い社会保障による健康保険制度がありません。医療費が大変高額なためかなり多くの薬がABCやウォールマートでも購入することができます。ただ処方薬は一般薬とは異なり、医師の処方箋が必要です。
この問題を解決するために、処方薬が決まっている場合に安全上の問題だけクリアしながら簡便で安価な方法であるテレメディスンが普及しています。つまり日本においてもテレメディスンはあくまで安価に薬をもらう手段として存在していると言うことです。
これを日本の獣医療に置き換えれば、
獣医師の技術量が安い、特にコンサルテーションフィー
米国でのコンサルテーションフィーは100ドルから300ドル。テレメディスンによるフィーに比べて2倍から5倍程度高額なのです。
米国での獣医療のコンサルテーションフィー50ドル程度が
日本の獣医療ではコンサルテーションフィーは五百円から2000円程度が標準でしょうか。日本ではその分薬価差益をとり、薬に対して利益を大幅に載せる歪んだ構造になっています。
日本のヒト医療においても過去は同じ構造でしたが、厚生労働省によるかなり強引な舵取りで医薬分業が行われ,現在はその歪みそれに準えると200円から400円程度。これだとまったくテレメディスンのメリットは獣医師側には有りません。
米国でのテレメディスンを通じて日本の獣医療の構造的な問題が浮き彫りになりました。
今後獣医療が良い形で発展し、かつ動物とその家族のためには薬価差益を手放し、その代わりに適正な技術料を請求する。このような方向性での改革が重要になっていくかと思います。
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