「投資」という言葉を聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか?
NISAやiDeCo、あるいは個別株のチャートかもしれない。しかし、人生という長いスパンで見たとき、最もリターンが大きい投資先は、他でもない「自分自身」である。
今回は、私が提唱している**「グライダー理論」**をベースに、自己投資と金融投資の意外な共通点、そして「時間」という資産の残酷なまでの重要性について、少し突っ込んだ話をしようと思う。
「40代」という残酷な分岐点
まずは、このグラフを見てほしい。

これは、20代からの「自己研鑽」や「信用への投資」が、その後のキャリアレベル(獲得信用力)にどう影響するかを示したものだ。
20代から30代にかけて、脇目も振らずに技術や信用にリソースを投下した人間(青い線)は、40代を境に高く、遠くへと飛翔していく。一方で、その場しのぎの「安易な選択」を繰り返した人間(赤い点線)は、高度が上がらないまま低空飛行を続け、やがて失速する。
私が「グライダー」に例えるのは、人生には**「自力で高度を稼げる期間」**が決まっているからだ。グラフにある通り、勝負は40代まで。そこまでにどれだけ努力し、気流を掴んで高く飛べるか。それが人生後半の景色を決める。
「良い機体」を選んだ後の、操縦技術(自己投資)

私は獣医師として25年以上臨床に携わり、40歳で博士号を取得した。現在は複数の病院経営や事業開発、大学での教官も務めているが、振り返ってみて痛感するのは、「どこに所属するか(機体選び)」と同じくらい、「どう自分を磨くか(操縦技術)」が重要だということだ。
たとえ設備が整った素晴らしい病院(機体)に就職できたとしても、パイロットである自分に操縦技術がなければ、宝の持ち腐れだ。若いうちは、自分の時間という燃料をすべて「技術」と「信用」という高度に変えることに注力すべきである。
金融投資と自己投資は「同じロジック」で動いている
ここで、多くの若者が「自分にはまだ早い」と考えがちな金融投資の話をしよう。実は、若いうちから金融投資を学ぶ最大のメリットは、「自己投資の重要性」を論理的に理解できることにある。
金融投資の基本は「複利」だ。
- 元本を投じる
- 得られた利益を再投資する
- 時間を味方につけて雪だるま式に増やす
これはキャリア形成と全く同じだ。20代で得たスキル(利益)を、さらなる難易度の高い仕事(再投資)にぶつける。すると、30代、40代で得られる「信用」は加速度的に増していく。
ここで多くの人が犯すミスは、「含み益(ちょっとした成果や余裕)」をすぐにお金に変えて使ってしまうことだ。
金融投資で言えば、配当金をすべて贅沢品に使ってしまうようなもの。それでは複利の効果が得られない。若いうちは、得られた成果をさらに自分の成長のために「再投資」し続ける。この「待つ」という感覚、あるいは「時間を資産に変える」という感覚は、実際に身銭を切って投資を経験している人間の方が圧倒的に飲み込みが早い。
「時間」という最強のカードをどう切るか

私が2018年に脳梗塞を患った際、最も後悔したのは「お金」のことではなく、「残された時間の使い方」について無知だったことだ。幸い大きな後遺症もなく復帰できたが、それ以来、私は「時間」という資産に対して極めてシビアになった。
若い世代に伝えたいのは、**「時間は、若ければ若いほど価値が高い」**というシンプルな事実だ。
- 金融投資: 20代から始めれば、少額でも複利で大きな資産になる。
- 自己投資: 20代で身につけた「学び方」や「人脈」は、その後の数十年間にわたって利益を生み出し続ける。
若いうちから金融の世界に触れ、「複利の力」を肌で感じてほしい。そうすれば、今日という1日をダラダラ過ごすことが、将来のどれほど大きな損失(機会損失)に繋がっているかが、チャートの右肩下がりのようにリアルに見えてくるはずだ。
結論
人生というフライトにおいて、40代は一つの大きな分岐点(ディバージェンス)だ。
「操縦技術(自己投資)」を磨き続け、複利の力を味方につけた者だけが、エンジンの止まった後半戦でも悠々と空を舞うことができる。
「まだ若いから」と投資を先延ばしにするのは、最強の武器を捨てているのと同じだ。
自分という資産を最大化するために、まずは「金融投資」というレンズを通して、自分の「時間の価値」を再定義してみてはどうだろうか。
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